世界遺産富士山
2014年09月02日掲載
富士山は多くの芸術作品や文化作品に取り上げられてきました
絵画として現存する最古の富士山は『聖徳太子絵伝』(平安時代後期)といわれ、甲斐の黒駒に乗った聖徳太子が、天空を富士山頂へと駆け上がる様子が描かれている。平安時代から室町時代には、頂上を三つの峰に描く「三峰型」が富士山を描く一つの型となっていた。
江戸時代に入ると、人々の東海道での往来が盛んになり、司馬江漢など多くの画家が実景に基づく富士山を描くようになった。
浮世絵では、葛飾北斎が『冨嶽三十六景』で、歌川広重が『不二三十六景』『東海道五拾三次』でさまざまな場所から望む富士山を活写した。これらの作品は海外にも広く知られ、ゴッホやモネなど印象派の画家たちに影響を与えた。
近代日本画において、最も富士山を描いたといわれる横山大観は、『群青富士』『日出処日本』など生涯で千点以上の富士山の絵画を残している。
このように富士山は日本の象徴として捉えられ、古くから現代まで絵画のモチーフとして描かれ続けている。富士山はまさしく文化創造の源であり、日本人の心に深く根づいている。
日本最古の歌集である『万葉集』に、
「日の本の 大和の国の 鎮めとも います神かも宝とも
なれる山かも 駿河なる 富士の高嶺は 見れど飽かぬかも」
と富士山が詠まれている。この歌中では、国の鎮めの神であり、宝であるとされている。また、噴火の煙は、時には燃える恋の象徴として、物語や歌に描かれた。『竹取物語』や謡曲『羽衣』の舞台となり、『古今和歌集』『伊勢物語』などの和歌や、松尾芭蕉や与謝蕪村の俳句、夏目漱石や太宰治の小説などの題材として、多岐にわたって取り上げられてきた。
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