世界遺産富士山
2017年04月01日掲載
「世界遺産富士山」について解説しています。
平成19年1月、富士山は、世界遺産としてユネスコ(国際連合教育科学文化機関)へ推薦する候補を記した我が国の「暫定リスト」に登載されました。それは、富士山が美しく荘厳な姿を基盤とし、様々な信仰や芸術を生み出した「名山」として、世界にふたつとない価値を持っているからです。
平成24年1月、富士山の推薦書が、ユネスコ日本政府代表部からユネスコ世界遺産センター(パリ)へ提出されました。
そして、ついに平成25年6月22日、第37回ユネスコ世界遺産委員会において『富士山』は文化遺産として世界遺産登録となりました。
登録後も、富士宮市は、静岡・山梨両県及び関係市町村と連携し、富士山や構成資産を適切に保護保全するための整備保存体制に取り組んでまいります。これからも、地元の皆様のご理解とご協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
富士山 — 信仰の対象と芸術の源泉
Fujisan, sacred place and source of artistic inspiration.
[静岡県] 静岡市・富士宮市・富士市・裾野市・御殿場市・小山町
[山梨県] 富士吉田市・身延町・鳴沢村・富士河口湖町・山中湖村・忍野村
富士山は、日本を代表し象徴する日本最高峰の秀麗な円錐成層火山として世界的に著名であり、その荘厳で崇高な形姿を基盤として日本人の自然に対する信仰の在り方や日本に独特の芸術文化を育んだ山です。山岳に対する信仰の在り方や、海外に影響を与えた19世紀後半の葛飾北斎や歌川広重などによる顕著な普遍的価値を持つ「浮世絵」などの日本独特の芸術文化を育んだ山です。
時代を超えて、一国の文化の諸相とも極めて深い関連性を示し、山に対する信仰の文化的伝統を表すのみならず、世界的な「名山」としての景観の類型の顕著な事例として顕著な普遍的価値を持つ山です。
世界遺産リストに登録されるためには、資産に「顕著な普遍的価値」があることが必要とされます。
その価値を証明するために、世界遺産委員会が定める「世界遺産条約履行のための作業指針」で示されている登録基準のいずれか1つ以上に合致するとともに、真実性や完全性の条件を満たし、かつ締約国の国内法によって、適切な保護管理体制がとらせていることが必要です。
その価値を証明するために、世界遺産委員会が定める「世界遺産条約履行のための作業指針」に規定された評価基準1~10が存在します。富士山は【評価基準3・6】に適合すると評価されました。
【評価基準3:現存するか証明しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である。】
富士山に住まうと考えられた神仏への信仰を起源として、火山との共生を重視し、山麓の湧水などに感謝する伝統が育まれました。その本質は、時代を超えてこんにちの富士登山及び巡礼の形式・精神にも確実に継承されました。
富士山とその信仰を契機として生み出された多様な文化的資産は、富士山が今なお生きている山岳に対する文化的伝統の類い希なる証拠であることを示しています。
【評価基準6:顕著な普遍的価値を有する出来事(行事)、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または実質的関連がある。(この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)】
19世紀前半の浮世絵に描かれた富士山の図像は、近・現代の西洋美術のモチーフとして多様され、西洋における数多の芸術作品に多大なる影響を与えたのみならず、日本及び日本の文化を象徴する記号として広く海外に定着しました。
富士山は、そのような顕著な普遍的意義を持つ芸術作品と直接的・有形的な関連性を持ち、日本及び日本の文化の象徴としての記号化された意味を持つ類い希なる山岳です。
資産の全体は、富士山の『信仰の対象』の側面から、顕著な普遍的価値を表すために必要な全ての構成資産・構成要素を含むのみならず、資産の重要性を伝える諸要素・過程を完全に表す上で適切な範囲を包括しています。また、資産の範囲には、(1)富士山域に対する代表的な展望地点、(2)それらの展望地点からの富士山域に対する展望景観など、『芸術の源泉』の側面を表す全ての構成資産および構成要素が含まれています。したがって、資産は高い完全性を保持しています。
個々の構成資産・構成要素・要素の性質により選択した属性に基づき、各々の構成資産・構成要素・要素はそれぞれ高い水準の真実性を維持しています。
富士山域は、「精神」「機能」の属性に基づく高い真実性を保持しています。また、神社・御師住宅の建築・敷地は、「形態・意匠」「材料・材質」「伝統・技術」「位置・環境」「用途・機能」の各属性に基づく高い真実性を保持しています。さらに、溶岩樹形・湖沼・湧水地・滝などの富士山信仰に関連する遺跡は、「形態」「位置・環境」「感性」「用途・機能」の各属性に基づく高い真実性を保持しています。
平成18年11月 | 国内における世界遺産暫定リストへの追加を国に提案 |
平成19年1月30日 | 国内において世界遺産暫定リスト登録 平成19年1月23日に開催された文化審議会財分科会(国内)において、世界遺産(文化遺産)の暫定リスト追加資産候補として決定されました。 |
平成19年6月27日 | ユネスコ世界遺産委員会にて世界遺産暫定リストへ搭載される 第31回ユネスコ世界遺産委員会(ニュージーランド開催)において、世界遺産(文化遺産)暫定リストへの搭載が報告されました。 |
平成23年7月27日 | 県から文化庁へ推薦書(原案)を提出 静岡・山梨両県で作成した推薦書原案を文化庁へ提出しました。 |
平成23年9月28日 | 日本政府が推薦書(暫定版)をユネスコ世界遺産センターへ提出 平成23年9月22日に世界遺産条約関係省庁連絡会議が開催され、富士山の世界遺産(文化遺産)への推薦が検討されました。その結果、28日に推薦書暫定版が提出されました。 |
平成24年1月27日 | 日本政府が「富士山」の推薦書をユネスコ世界遺産センターへ提出 ユネスコ日本政府代表部からユネスコ世界遺産センター(パリ)へ推薦書が提出されました。(日本時間1月27日午前1時) |
平成24年8月28日~9月5日 | ユネスコ諮問機関のイコモス(国際記念物遺跡会議)による現地調査実施 イコモスの調査員が来日し、山梨・静岡両県の各構成資産を調査して周りました。 富士宮市内の構成資産は9月2~3日に調査されました。 |
平成25年4月30日 | イコモスが審査の評価結果を勧告 イコモスによる評価結果及び勧告が発表されました。「富士山」は条件付きの『記載』と勧告されました。 |
平成25年6月22日 | 第37回ユネスコ世界遺産委員会にて登録の審議 カンボジアのプノンペンにて開催された世界遺産委員会にて、「富士山」が世界遺産(文化遺産)に登録されました。(日本時間6月22日午後5時28分) |
平成25年6月26日 | 世界遺産一覧表へ正式に記載 第37回ユネスコ世界遺産委員会の最終日である6月26日に、「富士山」が正式に世界遺産の一覧表へ記載されました。 |
企画部 富士山世界遺産課 企画係
〒418-8601 静岡県富士宮市弓沢町150番地(市役所3階)
電話番号:0544-22-1489
ファクス:0544-22-1206
メール :sekai@city.fujinomiya.lg.jp
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