副市長コラム(令和4年度)
2023年03月07日掲載
令和4年度の副市長のコラムです。
静岡大学・浜松医科大学統合・再編促進期成同盟会
3月2日、アクトシティ浜松で開催された「静岡大学・浜松医科大学統合・再編促進期成同盟会」発足式に出席しました。
時代の要請に応える魅力の大学とするために、静大と浜松医大とは、2019年に統合再編し2つの大学とすることが合意されていました。しかしその後、静岡大学の規模が小さくなるとして、静岡市の大学関係者から異論が出て暗礁に乗り上げていました。これに業を煮やした浜松市長や浜松経済界から、県内市町の行政や商工会議所に、促進のための期成同盟会設立に向けた参加の呼び掛けがありました。静岡市長は、「これは大学の自治の問題であり外部からの圧力はおかしい」とし、静岡市と近隣の市は不参加を表明。これに対して浜松市や近隣の市は、「合意したことは実行すべき。世界の流れに遅れる」として参加を表明。呼び掛けを受けた東部の市町の多くは、当面静観する状況となっています。
さて、富士宮市ですが、富士宮市立病院は浜松医大の直系病院であり、院長はじめ医師のほとんどが浜松医大から派遣していただいており、大学の統合により最先端医療を学んだ人材を受け入れることができれば、市民の命と健康を守る「安全・安心」に大きな期待が寄せられます。市長と慎重に検討した結果、富士宮市立病院の将来に渡る人材確保のために、期成同盟会に参加することを決断しました。
3月2日の期成同盟会発足式には、私が市長の代理として出席しましたが、浜松市長以外、発足式の会場に出席した市町特別職は、なんと富士宮市だけで、他の市町はリモート参加でした。そんな状況から、浜松市以外の参加自治体を代表する形で私が挨拶することになってしまいました。多くのテレビカメラやマスコミの前で少し緊張しましたが、大学の自治問題や静岡・浜松の地域問題に巻き込まれないよう、富士宮市立病院と浜松医大との関係や地域医療の充実への期待など当市の特殊事情に絞って簡潔な内容の挨拶としました。
今後、この問題がどのように進展するのかは全く分かりませんが、少子化が進む中で、大学が生き残るためには、若者が受験し学びたくなる魅力ある大学とならなければなりません。発足式に出席し、富士宮市としての考えをしっかりと表明できて良かったと思っています。
少子化、コロナ禍で思うこと
令和5年度予算を審議する2月定例市議会が始まりました。施政方針に対する代表質問、予算審査特別委員会、一般質問などがこれから1か月間をかけて行われます。その中で気になることは「少子化の波」です。私は1950年生まれの72歳。富士宮市の統計(令和3年版)によると市内の72歳人口は2,221人です。これに対して、0歳児の人口は、なんと682人、3分の1以下になってしまいました。しかも、ここ数年で急速に減少しています。
私の小中学生時代は、クラス50人以上で教室はすし詰め状態でしたが、今は、ガラガラ。中心市街地の二中でも単独で野球部が組めず三中との合同チームと聞いています。このような急激な少子化の進行は、もちろん当市だけでなく全国の自治体が直面している課題です。
このため新年度予算では、妊娠から出産、子育てまで一貫した相談体制や経済的支援、0歳から18歳までの給付金の支給、遊ぶ場の整備などの経費を積極的に計上しました。
しかし、少子化の根本原因は、若い世代において、結婚し、子供を育てようという意識が薄れていることにあります。ここをどうしたら動かすことができるのか、一自治体の施策では限界があり、日本の将来にかかわる問題として、官民を問わず、国全体として取り組まなければならない喫緊の課題です。若者が未来に希望が持てる国にしなければなりません。
また、ここ3年間のコロナ禍において、市役所の様子も変わってきました。以前であれば、春には新職員を迎えての歓迎会、夏には納涼会、冬には忘年会などが行われ、仕事以外でも交流が深められていましたが、コロナ禍で、すべてができなくなりました。私は、昭和どっぷりの古い人間ですが、振り返ると職場での楽しい思い出がいっぱいあり、そのことが生きる希望にもなっていました。「歓送迎会を知らない若い世代」が増えてきましたが、飲み会はなくとも、心が通じ合う市役所であってほしいと心から願います。
市制施行80周年・市役所生活50年
1942年(昭和17年)6月1日に、大宮町と富丘村が合併して富士宮市が誕生してから80周年を迎えました。私が生まれたのが1950年ですから、私は、ほぼ富士宮市と共に生きてきたといえます。私が富士宮市職員となったのが1974年(昭和49年)ですので今年で49年目を迎えました。おそらく、市制上、私が最も長く勤めている職員だと思います。その間、どれだけ市のために貢献できたか・・・忸怩(じくじ)たる思いです。
この80年間の市の発展ぶりや出来事は、「富士宮市市制80周年市勢要覧」に詳しく掲載されているので、このコラムでは、市役所生活約50年を少し振り返ってみたいと思います。
昭和49年4月1日、私は、旧庁舎の屋上で採用辞令を受けました。この建物は、昭和初期の建設で老朽化し、鉄筋コンクリート造とはいえ質が悪く、一部の部屋では雨が降るとしみ込んで、3日後に天井から墨汁のような水滴が落ちてくるので、天井に雨樋がありました。もちろんエアコンはなく、夏は蒸し風呂のようでした。財政が厳しかったため公用車にもエアコンはなく、夏に県庁に出張するとき、窓を開けて走っているのは富士宮市の公用車だけでした。当時、卓上計算機(重箱のように大きかった)は財政係にしかなく、多くの職員は、そろばんで計算していました。いまではワード・エクセルで簡単に浄書や表作成ができますが、当時はタイプ室で、浄書や印刷用の原稿を打ってもらい、職員が手を真っ黒にして旧式のオフセット印刷機を回していました。土曜は半ドンで午後は休みのため、昼食に宝珍ローの肉ソバ(強烈なニンニク)を食べてもOKでした。5時の終業とともに、多くの職員が街に繰り出し、毎日のように飲み屋に向かいました。当時の上司から、「市職員は、生活費以外は街にお返ししなければならない。」と教えられたため、貯金は全くありませんでした。厳しい執務環境ではありましたが、日本経済の上昇期にあって、給料も上がって活気があり、また、どこかおおらかな時代でした。
そんな旧市役所の時代も終わり、1991年(平成3年)に現在の新庁舎が完成し、職場環境は一変しました。IT対応のインテリジェントオフィス、薄いパープル色にカラーコーディネイトされた内装や女子職員の制服。庁舎オープン前の内覧会には、多くの市民の皆さんが見学に来ました。「市長さんの部屋には奥座敷とトイレがある。職員の椅子にもひじ掛けがある。議長の席は総理大臣みたい。」などと驚嘆の声が聞こえました。その後、バブル経済が崩壊し、日本は長い低迷期に入ったため、あの時新庁舎が完成して本当に良かったと思います。
その新庁舎も、今年で完成から30年を経過し、ここ数年をかけて、大規模な長寿命化工事が行われています。本格的なグローバル情報化時代に入り、市役所の業務もDX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル技術による変容)を急ピッチで進めています。
職員の仕事は、内容も質も以前とは大きく変容し、より深い専門性が求められています。
また、少子高齢化の波は富士宮市にも急速に押し寄せており、人口も2010年の134,000人をピークに減少傾向に転じ、このまま推移すると、市制施行100周年となる20年後には111,000人、40年後には86,000人となることが予想されています。その時にどんな富士宮市になっているのか、おそらく私はこの世にはいませんが、楽しみでもありまた少し不安でもあります。
副市長4期目となりました
久々に副市長室コラムをアップします。世の中は、毎日のように様々な方が気軽にFacebookやインスタグラムで情報や画像を発信する時代となり、あらたまって年数回の副市長室コラムを書くのもどうかと思い、令和元年7月以来、サボってしまいました。
さて、この3年間で世の中はとんでもないことになってしまいました。新型コロナウイルスが世界中にまん延し、社会・経済活動は停滞。2020東京オリンピックを契機に、インバウンドで日本は大賑わいのはずが完全に当てが外れてしまいました。富士宮市においても密を避けるために、例年の行事やイベントが軒並み中止となり、旅館業や飲食業は経営の危機に直面し、街の活気が失われてしまいました。
そのような中にあっても、1年遅れの東京オリンピックでは、スペイン空手チームのホストタウンとして、市は、多くのボランティアの皆さんと一体になって応援し、サンドラ選手が金メダル、ダミアン選手が銀メダルという最高の結果となりました。合宿、練習の受け入れや選手との交流に多大なお力添えをいただいた関係者の皆様に心から感謝いたします。
しかしながら、新型コロナウイルスは、形を変えながら感染の上下を繰り返し、現在第7波に入ったといわれています。市では4回目のワクチン接種の準備を進めていますが、初期のような社会経済活動の制限は難しく、市民生活もウイズコロナ(コロナと共に)の視点で考えなければならなくなっています。
さて、私事ですが、副市長4期目に入りました。今年で72歳になり、静岡県内の副市長の中で最長老となりました。DX(デジタル社会)が進む中において、時代に適応することができるか悩みましたが、老体にムチ打って、できるところまで頑張ろうと思っています。
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