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令和5年7月 富士宮市教育委員会定例会(議事録)

2023年08月31日掲載

令和5年7月 富士宮市教育委員会定例会の議事録を掲載しています。

日時

令和5年7月21日(金曜日)
開会:午前9時 閉会:午前11時5分

場所

市議会第2委員会室

出席者

教育長、教育委員及び説明のための事務局職員

会議

議事日程

開会

令和5年7月定例会の開会を宣告し、会期を1日として決定。

第1 会議録署名委員の指名について

会議録署名委員に、牧野委員及び関根委員を指名。

第2 教育長報告

 はじめに、静東教育事務所管内の教育長会について報告いたします。
 1点目は、令和6年度教員採用試験の受験者数が発表になりました。昨年と比べて高校の受験者数が70人減、特別支援学校が37人減、小中学校が133人減、養護教諭が16人減でした。全体的に昨年度よりも受験者数が減っているということで、今後どのような募集を行っていくかが課題だという話がありました。
 2点目は、新型コロナウイルス等の関係で、学年・学級閉鎖をした件数の報告がありました。4月が7件、5月が16件、6月が14件、7月が教育長会の時点では7件でしたが、その後、富士市で学級閉鎖がありましたので、全部で11件でした。大半がインフルエンザと新型コロナウイルスによる学級閉鎖でしたが、富士宮市での学級閉鎖はありませんでした。
 3点目に、新たに週5日、20時間で働く学校運営支援員の配置要領が制定され、令和5年5月1日から施行されました。具体的には、突発的な傷病等によって特別休暇を1か月以上取る際に、基本的には代替が認められていますが、講師が見つからなかったときの臨時措置で、短時間勤務できる方が見つかったら、その方に学校運営支援員としてお願いする形になります。

 次に、中体連の大会の現在までの結果が出ました。週末に陸上競技があり、2学期になってから相撲と駅伝がありますので、その結果が出次第、今年のロータリー杯が決まります。現時点で、富士根南中がどの競技もまんべんなくとっていますので、最有力候補です。

教育委員報告

(令和5年度市町村教育委員会研究協議会)
 はじめに、令和5年度の市町村教育委員会研究協議会の報告です。今回もオンラインで行われました。なお、後半にもありますので、それについては別の委員に参加していただきます。
 1つ目の分科会のテーマは、学校における働き方改革について、それから2つ目の分科会のテーマは、部活動のあり方についてです。そして、2つ目の分科会については、グループの進行役を務めました。
 1つ目の働き方改革に関する分科会については、現在、国あるいは地方において進捗をしているところで、様々な意見が出されました。具体的には、スクールサポートスタッフの配置の拡充や出退勤システムの導入など手探りながら、様々な取組をしておりました。その中で、特徴的なお話があったのは、現場の先生方の意見を聞いたところ、働き方改革によって在校時間が少なくなったということで、これは評価されている点なのですけれども、その分多忙感が増したという逆の効果が現れているということをある市の教育委員がおっしゃっていました。注目すべきなのは、その多忙感が今までの多忙感とは違ったストレスを感じているということをおっしゃっていました。つまり、仕事量が多いということは、必ずしも先生方にとってストレスをためている原因ではなく、仮に忙しくても、多忙感というその感覚からすると、従前のほうがよかったという言い方をされていました。つまり、機械的に時間制限や制度設計を一方的に押しつけることが必ずしも現場のストレスの解消につながらないという警鐘だったのだろうと感じました。
 当市からは、十分活動しているという意味も含めて、「イクボス宣言」という取組をやっていますと申し上げました。そうしましたら、ある町の教育委員が大変興味を持っていただきまして、ぜひ詳しく教えていただきたいと質問を受けました。また、私たちとしては、「イクボス宣言」をするだけではなく、検証も必要なのだろうということも感じました。
 次に、2つ目の分科会、部活動のあり方について、これこそ各市町が悩みながら、取り組んでいる状況について議論しました。特徴的なお話としては、関西の市では、具体的な取組をしている中で、部員が少ない、指導者がいない、施設がないということから、廃部にならざるを得ない種目が幾つか現れたそうです。そういうところを先進的に地域移行してきたことで実績を上げている発表がありました。それは、市町の規模であったり、あるいは民間のスポーツクラブの整備環境などが違うので、どの市町にも共通して言えることではなかったのですが、私が注目したのは、部活動を維持できないからどうしたらいいのかということを子どもたちあるいは親御さんから上がってくるのを取り上げて、地域移行したということです。つまり、働き方改革に伴う部活動のあり方について、ガイドラインや指針が出たから動いているというよりも、むしろ地域の要求としてそれをやらざるを得なかったということで、その際に周りに十分な指導者もいたり、あるいは施設もあったり、あるいは実績もあるような団体がいたということでうまくいったという例です。
 その中で私が申し上げたのは、学習指導要領には学校教育の一環としての部活動という表記があります。したがって、先生方ももちろん、親も部活動というのは、いわゆる学校クラブ活動、教育の一環としてやっているという認識があります。だから、それを担う先生方も使命感を持っていらっしゃると思います。しかしながら、例えばボランティアだったり、もっと言うと残業手当が出ないという問題があって、部活動の地域移行は働き方改革にもつながりますが、いずれにしても学習指導要領の書き方が変化しない限りなかなか難しいのではないかということを申し上げました。そうしたら、ある市の教育長からも、学習指導要領については、既に改訂をしていく方向にあって、そういう概念も変わっていかざるを得ないのだろうとおっしゃっていました。そのため、考え方を変えていかないと、部活動の地域移行についても難しいのではないかと感じました。
 なお、進行役として、国に対して、全体の中で申し上げたのは、部活動が地域移行した場合に、指導する教員の兼職・兼業についての考え方はいかがでしょうかという発言をさせていただきました。それに対しては、国から指針が出ており、県からもガイドラインが出ているということでした。平たく言えば夏休みの期間に先生方が部活動の指導をした場合について、先生方に対する負担はかからないように制度設計していますという回答でした。これは、私だけではなく、ほかの市町の方々も同じ質問をしていましたので、国で制度設計をしたが、地方の各市町まではそういった情報が届いていないのではないかということも併せて感じたところであります。

(全国市町村教育委員会連合会 第2回常任理事・理事会)
 次に、全国市町村教育委員会連合会の第2回常任理事・理事会が東京で行われましたので、報告します。1つは、文部科学省からの報告として、令和4年度の教職員の実態調査の報告、それからいじめ対策に対する取組、特に重大案件にならないようにどういう取組が必要なのかということです。特に、予防的な対応についてこれからは重点を置く必要があるというお話がありました。その他、様々な初等中等教育に関するお話がありましたが、残念ながら意見交換をする時間がなくて、一方的にお聞きをしてきたというところであります。

第3 議第19号 令和6年度から令和9年度まで使用する富士宮市立小学校教科用図書採択の同意について

(教育長)
 それでは、議案の審議に入ります。
 「日程第3、議第19号 令和6年度から令和9年度まで使用する富士宮市立小学校教科用図書採択の同意について」を議題とします。
 事務局から提案理由の説明を求めます。

・提案理由及び採択の経緯
(学校教育課)
 議第19号 小学校教科用図書採択の同意について、富士宮市立小学校が、令和6年度から使用する教科用図書を別添のとおり採択することに同意するものとする。令和5年7月21日提出。
 本案は、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律(無償措置法)によって、富士地区教科用図書採択連絡協議会が選定した教科用図書の採択案について、本市教育委員会が同意してよろしいか、審議をお願いするものであります。
 それでは、本日建議されました採択案に至るまでの教科書採択事務に関する経緯をまず報告をさせていただきます。
 無償措置法第12条第1項により、教科用図書採択に当たって、県教育委員会は採択地区を設定しています。これにより、本市は富士地区として、富士市との共同採択をすることとなります。
 また、同法第13条第4項の規定に基づき、同一採択地区の市教育委員会の間で協議を行う方法として、地区教科用図書採択連絡協議会を設けることとされており、本市及び富士市教育委員会教育長、両市校長会長、両市保護者代表の6名を委員とした富士地区教科用図書採択連絡協議会を設置いたしました。
 同協議会は、より専門的な知見から教科用図書の調査研究を行うことを目的に、富士地区教科書研究委員会を設置しました。研究委員は、本市及び富士市教育委員会から推薦された校長及び教員42名の先生方にお務めいただきました。
 この研究委員会は、6月13、15、20、22日の4日間、綿密な調査研究を行い、7月4日に調査研究報告書を協議会長に提出いたしました。
 これを受け、協議会は、去る7月7日に調査報告書を資料として、全教科の調査責任者から報告を受けるとともに、実際に教科書の内容を確認しながら協議を行い、採択案とする1者を科目ごとに選定し、採択案を建議いたしました。
 無償措置法では、共同採択地区内の市教育委員会がこの採択案に同意することをもって、採択が決定することとなっております。
 以上がこれまでの流れでございます。

(教育長)
 それでは、ただいま説明いただいた採択の経緯について質問はありますか。
 質問がないようでしたら、続いて、令和6年度から使用する小学校教科書採択案について、それぞれの教科書の内容を事務局から説明していただきたいと思います。

 (「なし」の声)

(学校教育課)
 令和6年度から使用する小学校教科用図書採択案について御説明いたします。
 今回発行された教科書は、11教科、13種目、149点ありました。今回、検定に合格した教科書には、各者様々な工夫が認められました。これらの教科書について県教育委員会が示す教科書の研究の視点である内容、組織・配列・分量、児童の発達段階への配慮に加え、富士地区の児童が主体的・対話的で深い学びを通して、未来に生き抜く資質・能力を育むことができるようになっている教科書、そして富士地区の教職員にとって、より指導しやすい教科書といった視点を加え、研究、協議を進め、採択案を決定いたしました。
 それでは、資料1を御覧ください。富士地区教科用図書採択連絡協議会長から出された採択案の協議依頼でございます。
 続きまして、2枚目を御覧ください。資料2になります。富士地区教科用図書連絡協議会が推薦いたします国語科から特別の教科道徳までの教科書発行者名と書名を教科書採択(案)として示しました。
 採択案の教科書の優れた点をお伝えするため、教科書研究委員会が作成した黄緑色の表紙のものとピンク色の表紙のものを資料として説明の際、御参照ください。

・国語と書写について
(学校教育課)
 それでは、初めに国語です。国語の教科書は3者あります。各者とも単元で身につけたい資質・能力が明確に示されており、見通しを持って学習することができる構成となっております。また、教科横断的に学習を進めやすく、他の教科や領域、さらには実生活と結びつけながら、学習内容の定着を図る工夫がされています。さらに、外国籍や障害のある児童への配慮など、授業のユニバーサルデザインが意識されています。
 その中で、採択案として建議されたものは、教育出版社の教科書です。
 3年生上の教科書において、育成する資質・能力を「ここが大事」という欄で示し、国語で何を学ぶかを明確にしているので、子どもに大変分かりやすくなっております。また、「言葉を増やそう」や「本を読もう」が適宜設定され、言葉の力を育み、読書活動にいざなう配慮がされております。こうした点から、富士地区の子どもたちの実態に合致していると考えます。
 次に、スーパーマーケットの店員にインタビューをし、それを基に報告文やお礼の手紙を書く活動につなげています。「話す・聞く」と「書く」の領域の教材を組み合わせ、日常生活に生きて働く言葉の力を身につけられるように工夫されています。
 続けて、6年生上の教科書においては、どちらのページにもグラフと説明文が併せて掲載されています。このような教材文は、学習指導要領においても、情報と情報との関係づけの仕方、図などによる語句と語句の関係の表し方を理解し、使うことと示されていて、文章と資料を併せて深く理解する力を育むことにつながります。また、こうした学びは、他の教科や総合的な学習の時間など、主体的な学びを支えるとともに、情報社会の中で生きる上においても、大変重要な力を育むものになると考えます。
 国語については以上です。
 併せて書写の教科書についても御説明いたします。書写の教科書は、3者から発行されております。
 各者ともICTを活用して書き方を示すことで、児童が自分で自分の学びの速度に合わせ、確認をしながら学ぶことができるという点で、個別最適な学びを進めることが可能なつくりとなっています。また、筆の運び、筆圧、文字の配列の仕方など、書き方の基礎となる部分が視覚的に示され、他教科や日常生活において書く活動につなげる場面を紹介している点も共通して工夫されています。
 その中で採択案として建議されたものは、教育出版社の教科書です。
 3年生の教科書において、筆圧の変化について、穂先の図の大きさと数字で示し、はらいの例では、ムササビのイラストと吹き出しの言葉で、児童がコツをつかみやすいように工夫して、非常に分かりやすい構成になっています。
 次に、図画工作科に生かす「レッツトライ」は、作品カードの書き方を学習するページです。このような「レッツトライ」は、複数箇所設定されており、他教科や実生活と関連づけさせた「書く」活動が豊富にあるため、書写での学びを他教科や実生活が、実際の学校生活で広く生かす工夫が見られます。
 書写については、以上です。

(教育長)
 それでは、教科ごとに委員の皆様に御意見を伺っていきたいと思います。委員の皆様には、事前に全者の教科書を御覧いただき、各者の特徴について学ばれていらっしゃいますので、そこでお感じになったことも併せて御意見等がございましたら、お願いします。

(教育委員)
 意見のまとめにも目を通しましたが、長らく教育出版社を採択している根拠についての御意見があることも承知しております。全ての国語の教科書を見させていただき、文字から得る情報が非常に明確でして、写真がカラーで様々なものが載っているのですが、補助としての教科書の写真という部分だけではなく、文字から子どもたちが得ていく情報が非常に見やすくて、豊かであると感じました。富士地区の子どもたちのためにという説明がありましたが、本当にそのとおりで、よりよい学びにつなげていけたらよいなと思います。また、単元構想という点と、生活に生かすという、子どもたちの学びがどう生かされているか子ども自身が認識しながら学ぶということは非常に重要なことですので、説明も十分納得しました。

(教育委員)
 書写について、どの教科書も文字の歴史であったり、成り立ちであったり、日常生活の中で生かせるようなことを取り上げられていました。教育出版の教科書の中には、書写の筆を使った部分でも、入筆の際の入り方の擬音語が小さいものから大きいものまで違いをつけてある部分が子どもたちにも捉えやすい表現になっているのではないのかなと感じました。
 それから、今取り上げていただいた3年生の教科書ではなく、1年生のほうの教科書の中には、左利きで鉛筆を持つ方法も取り上げてありまして、最近は左利きの子を無理やり右利きに直すということではなくて、本人の持ちやすいほうの手でということが多くなっている中で、左利きの子にも寄り添った形で表現が出されている部分が良いと思いました。

(教育委員)
 国語だけではありませんが、教育出版に関しては、各教科書の最初に「まなびリンク」という二次元コードが載っています。この中の内容を先生方がどういうふうに取り扱うのかということについてです。先ほど委員からお話ありましたが、紙と字と視覚を通じて子どもたちが国語を学ぶと考えたときに、二次元コードは何をサポートするのかについて、今の説明の中ではありませんでした。教える側に立ったときに、先生方が大変ではないかと思うのです。先生方は、教科書だけを見て判断し、子どもに寄り添った対応をしていただけると思いますが、そのときに二次元コードの中にどういうコンテンツがあるのかを先生方が知らないといけません。子どもたちは学校のルールに従って端末を使用しますが、それについて質問をされたときに、先生方はそちらの理解もしておかなければいけません。
 デジタル教科書への移行の段階で試行錯誤だったとは思いますが、学校における主たる教科書の使い方というのは、やはり紙や文字、板書、発音と、そういったようなことをツールとして、その子の思考を豊かにしていくようにあっていただきたいのです。問題は、そのときに二次元コードが邪魔をしないかということです。様々な教科で調べましたが、会社によってはすごく奥深いコンテンツで補完をして、まだ余りあるような情報に行き着くことができる二次元コードとして取り扱っている出版社もあります。いずれにしても、教科書を見て判断をする以外のことが現場において負担にならないかということが非常に心配です。
 そういう観点でこの教育出版の教科書を見させていただくと、いわゆるそれ以上のコンテンツが満載というイメージではなかったので、ちょっと安心したところであります。

(教育委員)
 今回採択された教科書ですが、文字の配列と読みやすさという点では、大変いいところだと思います。先ほどもありましたが、二次元コードについてはこの教科書が採択されたときに、使いこなす職員の力を同時につけていっていただければと思います。

・社会について
(学校教育課)
 社会の教科書は、3者から発行されており、各者とも主体的・対話的で深い学びの実現を図るために問題解決的な学習が進められるような内容面、構成面での工夫があります。多様な資料を基に課題をつかみ、追究し、まとめるといった学習過程の中で、社会的な見方・考え方を働かせながら、社会事象について深く考える場面が設定されています。また、学習内容をSDGsや現代社会の課題と結びつけながら、自分事として考える場面も多く設定され、持続可能な社会の実現に向け、自ら考え、行動していく力を育めるようなつくりとなっております。
 その中で、採択案として建議したものは、教育出版の教科書です。
 4年生の教科書においては、防災に関する内容が充実しており、実生活とのつながりに気づきながら、自分事として防災について考えを深めていける構成となっています。特に教材として、静岡県静岡市の取組が中心に取り上げられているので、富士地区の児童にとっても、親近感を覚えながら学ぶことができると期待しています。
 また、見開きで学習の内容が示され、「この時間の問い」や「次につなげよう」が設けられていることで、各時間の「問い」や「予想」がつながり、問題解決的な学習が進められるように工夫されています。
 また、「まとめる」の場面では、それぞれの立場で意見を整理し、対比しながら多角的に考えられる方法が示されています。付箋を活用するとともに、右上の「学びのてびき」により、順位づけをして考えるなど、選択・判断する力を育むよう配慮されている点においても、富士地区の児童が身につけたい資質・能力に合っていると考えます。
 続いて、6年生の教科書においては、戦時下の写真がカラーになって掲載されています。このような配慮によって、リアルな戦時下の様子が伝わり、児童の興味・関心は高まりやすく、深い学びと理解につながることが期待できます。
 社会については、以上です。
 次は、地図になります。地図は2者から発行されました。
 2者とも児童の主体的な学習や資料活用能力の向上につながるような内容や構成上の工夫が多く見られました。また、3年生から4年間という長期間にわたって活用すること、SDGs、国際理解教育、防災教育等で活用ができるような内容面の工夫や、児童の発達段階や特性に配慮したユニバーサルデザインも共通した特徴となっています。
 その中で採択案として建議された地図帳は、帝国書院の地図帳です。
 「地図のやくそく」と「地図の使い方」が設けられており、基本的な活用方法を確実に学ぶことができるようになっております。
 特に、全体を通して色や紋様の使い方を工夫しており、土地利用や地形、産業の様子が大変捉えやすくなっています。右下の「地図マスターへの道」が多くのページにあり、主体的な学習を促す設問、指示が充実しているため、資料活用能力の向上が期待できます。
 さらに、児童の学習負担の軽減が地図上の情報量の制御によっても配慮されています。1ページ当たりの情報量を減らす代わりに、総ページ数は増えておりますけれども、全体として紙の軽量化が図られています。
 地図については、以上です。

(教育委員)
 地図に関しては、私も見比べるということはなかったのですが、帝国書院の教科書は、普段私たちが目にする地図の見やすさ、平地の部分がきちんと緑になっていて、ここは平地だから田畑や農業が盛んだなとか、地図によって見やすさがこんなに違うのだというのをすごく感じたので、子どもにとっても見やすいなと感じました。
 もう一点、例えば防災の観点で、静岡県の防災が採用されるという御説明がありました。社会科というのはその内容を学ぶと言うよりは、これから子どもたちが様々な課題に直面するときに、その学習の学び方や調べ方を学んでいくというのが社会科の本来の目的だと思っています。決して防災で静岡県が採用されているからいいということではなく、学習の仕方が非常に明確であることと、日常の生活と結びつけて考えていけるような工夫があってよいと非常に感じたものですから、ご説明の内容に納得した次第です。

(教育委員)
 社会ももちろんですが、日本全体の中の特質な部分を丁寧にまとめ上げているなというところは感じました。その中でも地図の教科書の後半に、どういった地域がどういったものを特産にしているかということで、静岡県もそうですが、全国的な状況が目で捉えても非常に分かりやすくなっているというところがいいと思います。

・算数について
(学校教育課)
 算数の教科書は、6者から発行されております。
 全体的な傾向といたしまして、児童が日常の生活場面から算数の問題を自ら見つけ、他者と対話的な学びを通して学習が進められるよう、内容や構成に工夫が見られました。また、問題解決のために、「既習事項を振り返る」、「必要な技能を学ぶ」、「学んだことを活用し、発展させる」、「定着を図る」など、自分のペースで自主的に学習を進められるようなページが設けられていました。
 その中で採択案として建議したものは、学校図書の教科書です。
 5年生上の教科書においては、1年間の中で繰り返し学習ができるように、内容の配列が工夫されております。「上」の教科書で学んだことを「下」につなげ、既習事項を生かしながら繰り返し学習することで定着が図られるように配慮されています。
 また、9体の考え方モンスターで、大切にしたい数学的な見方・考え方を分かりやすく示しているのが特徴です。児童に大変親しみやすく、これらを糸口として、ひらめきや思考の深まりにつなぐことができるように適宜配置されています。
 続けて、5年生の下の教科書においては、「○○さんの考え」として、児童の多様な考えを示し、その意味を考える場を設定しています。求め方を考え、説明する活動を取り入れることによって、思考力、判断力、表現力等を育めるように配慮されています。

(教育委員)
 数学的な見方や考え方を育むように工夫されている一例として、多様な考えを広く認めてくださる教科書のつくり方が非常にすばらしいなと思いました。小学校のときに計算で答えが求められなくて、ある問題を絵と図を描いて解を導いた経験があるのですが、担任の先生がその考え方の過程を認めてくださって、とても褒めてくださったことが、その後の算数の学び方の喜びにつながってきた覚えがあるので、解を導く仕方が一つではないのだということを前提に教科書づくりがされていることが非常にすばらしいなと感じました。
 それから、繰り下がりの引き算等の単位が1の位、10の位、100の位が図で示されていたのですが、ほかの教科書はみんな1円と10円と100円という数字での表記だった中、子供たちが日常的に使っている数の傾向のように、1が10になり、10の束が100になりという図が明確に捉えられているのはこの教科書だけでした。やはり、10や100の数字だけでは理解が伴わない子どもは必ず出てくるものですから、今後、よりよい活用をしていただけることを期待できるなと感じました。

(教育委員)
 この教科書では、中学校の「かけはし」ということで、6年生までのまとめと、それから中学校へ行くと、どのようにそれが展開されるかということが書かれていますが、このように別紙で取り組んでいたのは学校図書だけだったと認識していますけれども、大変いいことだと思いました。特に小学校から中学校への不安なときに、算数についてもそのようなことがイメージできるということは、子どもたちにとっても非常にいいことではないかなと感じたところであります。

(教育委員)
 図形の解き方において、ここは補助線等を用いて形の違うものの形を整えるという見方の説明の仕方は大変いいのではないかと思いました。それによって図形を分解する力、そういったものも同時に学べるのではないかと思っております。また、考え方を幅広くする教科書としてはいい本だと思っております。

・理科について
(学校教育課)
 理科の教科書は、5者から発行されました。
 全体的な傾向といたしまして、各者とも現代的な諸課題として、SDGsや防災・減災と学習を結びつけています。また、動画のデジタルコンテンツを準備し、内容の質も向上しています。さらに、児童が理科の見方・考え方を意識して学習を進められるように、着目点にアンダーラインをつけたり、キャラクターにせりふを入れたりするなど、学習が深まる工夫が見られました。
 その中で、採択案として建議した教科書は、啓林館の教科書です。
 5年生の教科書においては、単元導入の写真の美しさや壮大さを感じるものが多く使われているため、児童の興味・関心を高めながら、学習を展開していることが期待できます。
 また、「こんなときどうする?」のコーナーがあり、学習内容と実生活を結びつけて思考を深められるような工夫がされています。
 さらに、掲載されている「ワクビット」は、コンピュータ上で映像から情報を読み取り、児童が学んだことを生かして問題に挑戦できるようになっています。 また、当該教科書会社が作成したデジタルコンテンツを見ますと、一つ一つのコンテンツの内容が精選されており、児童に学ぶ余地を残しているため、授業での活用が大変しやすくなっています。

(教育委員)
 理科や科学について、最近、ニュース等を見ていると、命と強く結びついているものだということを感じます。先ほどの気象の映像等もそうですが、デジタルコンテンツを駆使して、子どもたちがより身近に気象情報等を得たり、考えたりすることができる教科書づくりだということで、非常に感心をしました。
 それから、ノートを各者どこも工夫をされていたのですが、初めて3年生で理科に出会う子供たちにとって、理科のノートの記録の仕方や観察の記録の仕方が明確に出ていて、小学校の教員は、理科も体育も英語もそれぞれ全て1人でやらざるを得ないような状況で、中には理科を不得手とする教員もいるのですが、本当に科学教育の基礎・基本が明確にノートを取って記録していくということ、地道な日々の積み重ねが科学であるということの非常に丁寧な説明がされているものですから、教員の指導力の差異を払拭する教科書づくりができていて、とてもすばらしいです。

(教育委員)
 先ほど説明がありましたが、アメダスの情報をタイムリーに使うということの重要性については、どの者も意識をして取り扱っていたのだと思っております。そういった点で、その情報をどう使うのかという観点で考え方が変わってくるのだと思います。
 特に防災と結びつける台風の接近から、理科をひもとくという観点は非常に重要だろうと思います。そういう点で、丁寧にこの教科書の場合は、各ページに二次元コードが載っていて、どちらかといえば、紙面に書いてある情報が少なくて、それを見ながら先生との間でお互いに理解を深めていくということが想定される書き方だと感じ、非常によいと思いました。

・生活について
(学校教育課)
 生活科の教科書は、6者から発行されております。
 全体的な傾向といたしまして、各者とも幼小連携を意識し、幼児期の経験を生かした遊びの要素を取り入れるとともに、期待感の持てる活動が設定されています。理科や社会、総合的な学習などの他教科や領域への横断的なつながりが意識されています。また、デジタルコンテンツ、挿絵、写真等も児童が興味・関心を持ち、楽しみながら学べる工夫がなされ、個別最適な学びの充実に向け、個の学習を深める内容にもなっております。
 その中で、採択案として建議した教科書は、教育出版の教科書です。
 上巻においては、ページの構成が統一されていることが分かり、身につけさせたい資質・能力が示されております。また、「きづく」が示されていますが、別のページでは「考える」、また別のページでは「自分でできる」などの言葉が各ページに設定されています。さらに、植物の成長や生き物の種類など写真が示されています。
 さらに、二次元コードがあり、その下には、学習の「ヒント」コーナーが設けられています。このように構成が統一されているため、低学年の児童にとって、分かりやすい工夫となっています。
また、各単元の導入に「わくわくスイッチ」のページを設け、児童が自分の今の状況を把握し、最適な学び方や遊び方を選べるような工夫がされています。
 その他、一人学びだけではなく、友達や自然と関わり合いながら学習を進めていける生き生きとした写真が多く掲載され、学びの手助けになることが期待できます。

(教育委員)
 先ほど御説明いただいた「わくわくスイッチ」についてですが、この重要性をすごく感じた点は、教員にとってこの「わくわくスイッチ」の考え方が非常に重要であるというふうに捉えたのです。生活科というのは、その知識の量ではなくて、子ども一人一人が体験を通してどう成長したかの足跡をきちんと教員が認め、励ますというその場こそがすごく今後の学びの楽しさを増幅させることにつながっていくので、経験値が少ない子供がいても、その子が生活科の中で成長する足跡をこの「わくわくスイッチ」の考え方で認めることができると、その子なりの成長を広い形で認めてあげることができて、一人一人の個の学びを大事にするという発想が実は子ども向けの教科書なのですけれども、教員にとっても、非常に重要であると考えました。このようなページがあるのは、この教科書だけでした。非常に指導者側にとっても、重要な考え方を基につくられているページだということが分かりました。

(教育委員)
 生活というのは、理科の導入になるような部分だと捉えているのですけれども、低学年、1・2年生の理科の導入というふうに見ると、たくさんのカラフルな写真が掲載されていて、視覚でまずは興味・関心を持てるような部分が多く取り上げられているのではないかなと思います。
 それから、先ほど示していただいた「きづく」の部分では、実際に植物を育てている中で、どういう部分がどういう時期にこういう成長につながるのだよという成長の過程も見るような写真もありました。そういうところで子どもたちが気づきやすいようなつくりになっているのではないのかなと思いました。

(教育委員)
 生活を全般的に見ていますと、家族や友人関係、それと自然の中での状況もあるのですけれども、自然の中に対しての、してはいけない約束というところも、目で見て、近寄らない。自分で自分の身を守るための挿絵も入っていてよいかと思います。

・音楽について
(学校教育課)
 音楽の教科書は2者から発行されています。
 全体的な傾向といたしまして、音源や動画等のデジタルコンテンツの充実が図られ、児童の主体的・協働的な学びへ導くよう配慮され、豊かな感性を養う構成、表現・鑑賞領域の配列のバランス等が各者とも工夫されておりました。また、我が国の伝統文化や音楽と生活との関わりを重視し、地域で受け継がれてきた音楽や、社会における音楽の役割を感じられるような内容も適切に扱われておりました。
 その中で、採択案として建議された教科書は、教育芸術社の教科書です。
 3年の教科書においては、単元の中で、歌唱、器学、音楽づくり、鑑賞の教材がバランスよく配置され、様々な活動を通して、教材の狙いに迫るような構成になっています。また、児童にも見やすく、把握しやすい紙面構成となっています。
 また、音楽づくり教材のコンテンツが非常に充実しています。タブレットを利用したメロディーづくりができるようになっています。繰り返し試聴することで、思いや意図を膨らませながら、表現しやすい工夫がなされています。

(教育委員)
 リコーダーの指導が3年生から始まる中、やはり楽器演奏を苦手とする子どもたちがどうしても多いのですが、非常に分かりやすく支援されているので、導入としてありがたいなと思いました。
 それから、特に低学年がそうなのですが、リズム遊びとか、遊びの中でのリズムを非常に大事に、やはりこれも生活の中で音を楽しむという基本が非常に大事にされていると感じましたので、またよりよい生活に生かした音楽を楽しめるのではないかなと思いました。

(教育委員)
 これは、音楽という観点だけではなく、現在、小中学校でどうか分かりませんが、登下校のとき、授業の始まりや終わりに、こういったいい歌が載っていますので合唱しようという内容があるので、クラスのチームワークを強くするような活用にも使っていただければと、これは要望です。

(学校教育課)
 これまでコロナ禍でしたのでなかなか皆で歌を歌うということをずっと3年間ほど控えてまいりました。しかし、4月から学校訪問する中で、音楽の授業でも子どもたちが教材を使いながら、楽しく合唱活動や合奏活動を楽しんでいる様子を拝見いたしました。特に小学校では、朝の会や帰りの会で、心を落ち着けたり、気持ちをそろえるということで、朝の学期ごとにテーマを決めて歌を歌ったりする様子も学校訪問の中で見られています。
今、委員からお話がありましたが、たくさんいい題材が教科書に載っております。市内全体研の音楽担当者を中心にお話を伝え、子どもたちの心のつながりや、チームワークといったお話がありましたけれども、そういったことに活用できるような利用方法を一層行っていくようにまた伝えてまいります。

・図画工作について
(学校教育課)
 図画工作の教科書は、2者から発行されました。
各者とも児童が身につけたい資質・能力を意識し、表現と鑑賞が一体的に学習できる配慮やICTの活用場面が具体的に示されています。また、「人・こと・もの」の関わりが意識された題材や教材選定がされており、図画工作を通して豊かな感性を育むよう配慮されています。
 その中で、採択案として建議された教科書は、日本文教出版です。
1・2年生の下の教科書においては、五感を働かせ、体全体を使って表現する姿、対話や試行錯誤する姿、表現方法の紹介等の写真から、児童の「やってみたい」という好奇心を引き出す構成になっています。
 3年生、4年生の教科書下巻においては、豊かな感性を育めるような作品や写真が多用されています。そのため、授業で表現と鑑賞の活動を一体的に扱うことにより、児童が作品づくりを通して自分の作品に対する見方・感じ方を深めていくことが期待できます。
 また、様々な彫り方や刷りの方法の表現方法を選択できるように、用具や技法、作品が多く紹介され、児童の主体性を促す配慮がされています。
 図画工作は以上です。

(教育委員)
 児童が主体的に表現方法を工夫できるように非常に配慮されているという文言があるのですが、かなり前の学習指導要領から美術と図画工作が大きく変わって、特に小学校の場合は作品の完成度で評価するのではなく、その内在する自己表現を、五感を使って、そこにある素材を創意工夫の中で楽しむ、表現するということは非常に重要視されてきました。私たちが子どもの頃に学んだ美術や図画工作ととても異なり、うまい、へたではないということです。低学年の子どもたち、特に1年生のときに作品を描き終わって、どの作品が一番いいと思うかという鑑賞の時間を設けるのですが、大抵みんな自分の絵が一番うまいと指を指すのです。それでいいと思うのです。
 この教科書の中に、例えば、「言葉から思いを広げて」というページがあって、「夏は夜、月の頃は」という中心の言葉から、表現する内容を言葉で紡いでいきながら表現していく楽しさを分かち合うというものがあります。これが本当に自己表現の場としての芸術作品、それを楽しむ過程も含めて作品なのだという捉え方が分かりやすく出ています。そして、例示されている作品も子どもらしい本当に生き生きとしたものが多かったです。この教科書は、つくり手の意図が非常に明確で、学習指導要領に合った表現を楽しむというつくりになっていて、とてもよいと感じました。

(教育委員)
 今、委員がおっしゃったように、本当に子どもたちが教科書を見て、「いろんな表現をしていいんだ」というふうに捉えられるものがたくさん掲載されていると思いました。
 それから、身近なもの、家庭にあるようなものをたくさん使った形で取り上げている感じも受けて、いいのではないのかなと思いました。

・家庭について
(学校教育課)
 家庭科の教科書は2者から発行されました。
 全体的な傾向といたしまして、学習指導要領に示されている生活の営みに係る見方・考え方を働かせるための4つの視点等が学習の始めに示されています。そのため、児童と教師、双方がどの視点で学習を進めているのかが意識しやすくなっています。また、身近な生活にある事例を取り上げ、課題解決の手がかりとなる例示・写真・図表・イラストが豊富に掲載されており、ジェンダー、ユニバーサルデザイン等にも配慮されています。
 その中で、採択案として建議された教科書は、開隆堂の教科書です。
 内容としては、例示・写真・図表・イラスト等が過不足なく適切に掲載されており、より児童の思考を助ける構成となっています。
 また、表題の初めに、写真で活用の様子や流れが示されており、その下に「学習のめあて」が設けられているため、児童が学習の見通しを持ちやすくなっています。
 続けて、「学習を振り返ろう」と「生活に生かそう」というところがあります。学習後に児童が実生活と結びつけて取り組めるような配慮がされています。
 また、デジタルコンテンツにおいても、動画の再生速度が調整できるような改良がされており、現行版よりも個別最適な学びができるような工夫がされている点も評価できます。
 家庭科は以上です。

(教育委員)
 家庭科については、各者見比べる視点として、私はジェンダー平等がどのように表現されているかということを視点に見させていただきました。また、SDGsももちろん教育の視点だと思っていますが、この教科書がジェンダー平等に限って言うと、挿絵等で男女の差なく表現をされていて、みんなで家族が家庭の中の仕事は助け合って、分け合っていくのだということと、それから人種についても多様性があるような挿絵が多く残されていて、とてもよいと思いました。

(教育委員)
 食事関係について、主に見させていただきました。昨日、給食センターも見学させていただいた中で、本当に丁寧につくられていると感じました。この教科書がお手本ではありませんが、それ以上の形で、児童生徒の今の給食の形がしっかりできているということを再認識いたしました。

・保健について
(学校教育課)
 保健の教科書は、6者から発行されました。
 全体的な傾向といたしまして、各者とも他教科やSDGsとの関連についての記載が多くあり、学習の参考となる資料や、二次元コードによる動画資料等によって、児童が主体的に学びを深める手だてが豊富にありました。また、健康・安全に関する今日的な課題を取り上げ、児童が実生活と結びつけて考える工夫が見られました。
 その中で、採択案として建議された教科書は、学研の教科書です。
 5・6年生の教科書において、単元の導入には、生活経験を振り返る場面があり、課題意識を持って学習に取り組むことができる構成になっています。
 また、実習を通して、学習内容の理解が深められるように工夫がなされています。さらに、学んだことを発展的に生かすことができる情報提供や実生活へ生かすための配慮がなされています。
 次に、考えを書き込む欄があり、デジタルとリアルの併用により、考えをアウトプットしやすく、思考、判断、表現力の育成においても有効であると考えます。
 また、「ほけんのはこ」のように、科学的・実践的に学びを広げたり、深めたりできる構成になっている点も有効だと考えます。

(教育委員)
 教科書を見比べさせていただいて、どの教科書も最初に心と体のつながりという単元があって、自分の悩みをどう対処していくかということが書かれています。この教科書には、「考えてみよう。友達やクラスの仲間のこと」というページがありまして、道徳のような特別な教科だけでなく、日常生活の中で自分の心がざわついたときに、こういうことがよいのかなという提案があります。いじめは非常に難しい問題です。いじめる要するに加害者側にやはり何かしらの課題であったり、悩みがあって、そういった自分の心との葛藤の中で友達をつい傷つけてしまったりということがあります。そういった自分の悩みと向き合って、きちんとどう対処していくかということがこのページで紹介されていることに非常に好感を持ちました。もちろん健康が心だけではなくて、心を支える体について、後半の部分の「かがくの目」のように、本当に子どもたちに分かりやすく、生活習慣病等から自己管理がきちんとできる子どもたちを育てるということは非常に大きな柱になっていると思います。そういった視点で見させていただいて、とても分かりやすい、よい教科書だと思いました。

・外国語について
(学校教育課)
 外国語の教科書は、6者から発行されております。
 全体的な傾向といたしまして、各者ともに学習指導要領が示す資質・能力を育む内容となっており、児童が単元のゴールを把握し、振り返りを通して学びを調整しやすいように工夫されています。コミュニケーションでは、目的や場面、状況の設定が児童に分かりやすく、学びが深まる工夫がなされております。また、二次元コードにより、児童は学校でも家庭でも英語の音とリズムを感じながら、より楽しく学べるようになっております。
 その中で、採択案として建議された教科書は、光村図書の教科書です。
 5年の教科書においては、各ユニットの最初に、単元のゴールと学習の流れ「ホップ、ステップ、ジャンプ」が明確に示されており、児童と教師、双方が学びの見通しが持ちやすく、活用しやすい教科書となっています。
また、学習の流れが「聞く、話す、書く、読む」という配列になっていることが分かります。特に「聞く、話す」活動を重視した内容になっており、学習指導要領の趣旨や、5年生から始まる英語において、「書く」ことの負担を軽減し、苦手意識を感じることがないよう、また「聞く、話す」活動を楽しむことができるように児童に配慮していると言えます。
 さらに、「レッツトライ」の活動に対して、赤い吹き出しで「レスポンス」を設けています。児童が相手とコミュニケーションを取るためのフレーズを自然な形で、無理なく増やしていけるという点においても工夫がされています。

(教育委員)
 英語の教科書なので、ヒアリングや音が重要だと思いますが、その点は二次元コードで具体的に示していただいています。その中で、キーボードに関して言うと、キー配列を勉強することが非常に重要だと思います。最近、タブレットでは、日本語入力が非常にしやすくなっているので、必ずしもこの従前からのキー配列を選ぶ必要がないということが多くなってきています。しかし、子どもたちがブラインドタッチで標準のキー配列に親しむということは非常に重要であり、これからも求められるものなので、大変いいことだと思いました。

(教育委員)
 先ほど御説明いただいた中に、「ホップ、ステップ、ジャンプ」と明記されていて、とてもよいというお話がありました。英語についても多くは担任が指導するクラスが多いかと思います。また、専門の英語の免許を持っているからこそ、差が出てくる教科でもありますが、子どもたちと一緒に教員も学ぶことを考えていくと、「ホップ、ステップ、ジャンプ」のような方法があって、一緒に楽しみながら学習を積み上げていくことができること。二次元コード等で発音等も確認できるので、ほかの教科書よりも扱いやすく、子どもも明確な目標を持って取り組むことができると思いました。

・道徳について
(学校教育課)
 それでは、道徳の教科書について御説明いたします。
 道徳の教科書は、6者から出されています。
 各者とも学習指導要領に示された道徳的価値についての理解を基に、自己を見詰め、物事を多面的・多角的に考えたり、自己の生き方についての考えを深めたりすることにおいて、バランスのよい構成となっております。いじめ問題など現代的課題がユニットで構成され、継続して学びを深めることができるように工夫されています。また、二次元コードによって、補充的な動画や資料が提示できるようになっています。
 その中で、採択案として建議された教科書は、東京書籍の教科書でございます。
 選定されている教材は、子どもの心に響くものが多く、身近な人物や生活場面を使っているため、自分事として考えられやすいように配慮されています。全学年に現代的な課題について考える5つのユニットがあり、その一つに「いじめ防止」を取り上げています。その中の一つ、「いじめ防止」を取り上げて説明をさせていただきます。
 5年生の教科書においては、いじめに関して直接的、間接的に扱う2つの教材を並列し、多角的に考えることができるように工夫しています。教材の内容は、状況把握がしやすく、道徳的価値について考え、議論しやすいものとなっています。
 また、子どもの権利条約の資料や教材文の「心のレシーブ」を受けて、日常生活とつなげて考えるための補助的資料となっています。どちらも「つながる・広がる」と示されているとおり、いじめについて広く考えるためのページとして工夫がされています。
 続いて、1年生の教科書においては、5年生と同様のつくりになっており、次のページの教材文においても、児童が自己投影して考えやすい登場人物のお話になっており、あわせて次の「つながる、広がる」では、関連する絵本の紹介などもなされております。
 全教材にデジタルコンテンツがあり、お話の題材文では、朗読だけではなく、紙芝居で見たり聞いたりすることができるので、読解への支援を要する児童や外国籍の児童などへの配慮が充実していることも本地区の実態に合っているものと言えます。

(教育委員)
 いじめについて、物語等を用いながら繰り返し大事に指導されていることで、これは子どもだけではなく、大人に成長する過程で学び取っていく大事なことだろうと思いますので、そういったつくりになっていること、非常に感心しました。
 もう一点、1年生の教科書で、どの教科書会社も「あいさつ」について表記されていました。「やってみて考えよう」と、「たっくんと同じことをやって考えよう」と、あいさつをする場面の日常生活と結びつけているのですが、この教科書では、あいさつ自体や気持ちのよいあいさつ、心がどういう気持ちになって変化していくかということに重点を当ててあいさつを表記してあります。
 一方で、他者の中では、あいさつを非常に形式的なものとして、おじぎは何度の角度でどのようにするかという表記の教科書がありました。子どもがあいさつをしないときや日常生活であいさつを返さないときもあるのですが、それでも大人があいさつをすることで、一番心が飢えているときこそ、そういった温かい言葉をかけてあげたいなと思っています。この教科書は、つくり方として、その心に焦点を当てていて、非常にすばらしいことだと思って、見させていただいたものですから、先ほどの説明に非常に納得しました。

(教育長)
 それでは、以上で提案理由、それから教科ごとの質疑は終わりましたが、この際、質疑漏れがありましたら、お願いします。よろしいでしょうか。

(教育委員)
 別添の資料で、展示会を御覧になった方々の意見の中に、展示会の場所のことで、もう少し交通の便のよいところでということがありますが、今回どこで行われたのかと、今後、この意見をどのように取り扱うかということについて、決まっていましたら教えてください。

(学校教育課)
 ただいまの件ですけれども、教科書展示は、上野の地域学習センターで行いました。静ひつな環境でゆっくり見ていただくということで、例年そちらのほうで展示をしていますが、少し交通の便ということで考慮しますと、また来年には中学校の教科書採択がありますので、検討させていただきます。

(教育長)
 ほかにはどうでしょうか。よろしいですか。

 (「なし」の声)

(教育長)
 それでは、質疑なしと認めます。
 質疑が終了しましたので、議第19号について採決をします。
 本案は、原案のとおり御異議ありませんか。

 (「異議なし」の声)

(教育長)
 御異議なしと認めます。
 よって、議第19号は原案のとおり可決されました。

第4 議第20号 富士宮市立小中学校通学区域審議会委員の委嘱又は任命について

(教育長)
 次に、「日程第4、議第20号 富士宮市立小中学校通学区域審議会委員の委嘱又は任命について」を議題とします。事務局から提案理由の説明を求めます。

(学校教育課)
 議第20号 富士宮市立小中学校通学区域審議会委員の委嘱又は任命について説明いたします。
 本案は、富士宮市立小中学校通学区域審議会条例第3条第2項の規定により、富士宮市立小中学校通学区域審議会委員を委嘱し、任命するものです。
 新しい委員は、富士根南小学校の校長、芝富小学校の校長、富士宮市PTA連絡協議会理事の2名で、計4名です。なお、任期は前任者の残任期間である令和5年7月21日から令和6年8月31日までとなります。
 別紙資料として、富士宮市立小中学校通学区域審議会委員名簿を添付しました。現在、委員12名中、女性5名、男性7名、女性委員の比率は42%、平均年齢は60歳です。今回の改選で、委員12名中、女性6名、男性6名、女性委員の比率は50%となり、また平均年齢は62歳となりました。
 以上、よろしく御審議の上、御決定をお願いいたします。

(教育長)
 説明が終わりましたので、質疑に入ります。
 質疑がありましたら、お願いします。よろしいでしょうか。

 (「なし」の声)

(教育長)
 質疑なしと認めます。
 質疑が終了しましたので、議第20号について採決をします。
 本案は、原案のとおり御異議ありませんか。

 (「異議なし」の声)

(教育長)
 御異議なしと認めます。
 よって、議案第20号は原案のとおり可決されました。

第5 議第21号 富士宮市立学校給食センター運営委員会委員の委嘱について

(教育長)
 次に、「日程第5、議第21号 富士宮市立学校給食センター運営委員会委員の委嘱について」を議題とします。事務局から提案理由の説明を求めます。

(学校給食センター)
 議案第21号 富士宮市立学校給食センター運営委員会委員の委嘱について御説明いたします。
 本案は、令和5年7月20日までの任期満了に伴う富士宮市立学校給食センター運営委員会委員の改選であり、富士宮市立学校給食センター条例施行規則第6条の規定に基づき、委員を委嘱するものです。
 内容につきましては、次ページの名簿のとおりになります。このうち、再任の方は9人、新任の方は11人です。なお、任期は令和5年7月21日から令和7年7月20日までの2年間となります。よろしく御審議の上、御決定くださるようお願いいたします。
 なお、構成は男性10人、女性10人です。年齢を見ますと、最年長66歳、最年少38歳、平均年齢は50歳となります。

(教育長)
 説明が終わりましたので、質疑に入ります。
 質疑がありましたらお願いします。よろしいでしょうか。

 (「なし」の声)

(教育長)
 それでは、質疑なしと認めます。
 質疑が終了しましたので、議第21号について採決をします。
 本案は、原案のとおりで御異議ありませんか。

 (「異議なし」の声)

(教育長)
 御異議なしと認めます。
 よって、議第21号は原案のとおり可決されました。
 以上で本日の定例会に付議された議案の審議は全て終了しました。

第6 市議会6月定例会の報告について

(教育長)
 次に、「日程第6、「市議会6月定例会の報告」ですが、事前に資料はお配りしてありますので、質疑から行いたいと思います。
 質問等がありましたらお願いします。よろしいですか。

(教育委員)
 総務文教委員会において、特別支援学級の現状について資料による説明をされたという報告を受けました。これは所管する特別支援学級について現状を説明したということは理解しますが、県教委の特別支援学校に関して、市議会の総務文教委員会の中でもそのことの説明が必要だったのだろうと思うのですが、その説明はされたのでしょうか。

(学校教育課)
 特別支援学校・学級の現状等を報告する中で、障害の程度においては、県の就学支援委員会において、特別支援学校相当と判断される場合もあるという説明の中で、この地区では富士の特別支援学校があるということで説明いたしました。通常の特別支援学級には県の審査で、特別支援学級で就学するほうが望ましい。県のより障害が重い子どもたちが学ぶ場で学習することが望ましいということで判断がされます。最終的に保護者が判断をするわけですが、子どもたちの学びの最適な場ということで、それについては保護者にはしっかり伝えている。そういった指導があるということにつきましては、御説明をいたしました。

(教育委員)
 やはりそのように説明をなさったのだろうと想定をしていました。当委員会においても、総合教育会議で視察をするなどして、特別支援学校の実態をつぶさに見てきました。また、課題となっています自閉症・情緒障害の子どもたちが平成15年から令和5年の間に3倍の推移で増えてきているという報告もあります。問題なのは自閉症・情緒障害の子どもたちが中学校を卒業した後、高校に進学する際に、特別支援学校に行けるということにならないということです。つまり、障害によって受け入れる条件があって、高校に入学するときは普通高校に入るのか、あるいはその他の学校に入るのかというような選択肢に、現状ではならざるを得ないと理解しております。そういったことについて、総務文教委員会の市議会議員の皆さんに御理解をいただいたのでしょうか。

(学校教育課)
 御質問の中には、特に進学先のことについての質問はなかったですけれども、例年、中学校卒業後の特別支援学級に在籍している子どもたちの進路等については、報告をさせていただいてありますので、また順次機会がありましたら、そういったことも具体的にお話をさせていただきます。自閉症・情緒障害学級の子どもたちについては、進路先がある程度制限されている現状があるということについても御理解いただけるような場を設けていきたいと思います。

(教育長)
 ほかにはどうでしょうか。よろしいですか。

 (「なし」の声)

(教育長)
 それでは、ないようですので、以上で質問を終わりにします。
 それでは、これをもちまして7月定例会を閉会いたします。

閉会

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