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1 道祖神の民俗

2011年05月31日掲載

1.道祖神とは

道祖神は集落の境や辻合などに祀られる神で、その名が示すように道や交通安全の行路の神として、外部から侵入する疫病や災いを防いでくれる塞(さい)の神として、縁結びや夫婦円満・子孫繁栄・豊穣の幸神(さいのかみ)としてなど様々に信仰されている。また、どんど焼きや夏祭りなどの行事があり子供にも親しまれる身近な存在である。
富士宮市内には、双体道祖神・単体道祖神・文字道祖神・手が加えられていない自然石を祀った道祖神などが見られ、ドウソジン・ドウロクジンと呼ばれ、まれにサイノカミとも呼ばれている。また、仏教と習合し「南無妙法蓮華経道祖神」と刻された題目道祖神がある。
道祖神の石碑は全国的な広まりをもち、沖縄県を除く各都道府県に見られるといわれるが、その数の多いのは中部から関東にかけてであり、特に長野県・群馬県・山梨県・神奈川県・静岡県東部だといわれている。

2.疫病の防止

道祖神は、外部からの疫神を防塞する塞の神として信仰され、江戸時代にも、「疱瘡(ほうそう)を軽くする呪(まじな)いとして道祖神を祭った」「コレラが流行ったので、町内で正月のごとくに道祖神を祭った」というようなことが記録されている。
戦前までは、桟俵(さんだわら)に赤い幣帛(へいはく)を立て赤飯を盛って道祖神に供える疱瘡神送りが行われていたことが、各地で報告されている。疱瘡やコレラなどの疫病が流行すると道祖神祭りを行い、種痘(しゅとう)が行われるようになっても軽く済み、種痘の跡が大きくならないようにと疱瘡神送りをするなど、道祖神は疫病防塞の神として祭られてきたのである。

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3.どんど焼き

どんど焼きは、正月飾りを焼く正月の神送りであるとか、火によってお祓(はら)いをする小正月迎えの火祭りだともいわれているが、どんど焼きが市内各地で道祖神の所で行われていることや、その日には道祖神に供え物がなされたり「奉納道祖神」の幟(のぼり)が立てられたりすることから、どんど焼きは道祖神祭りの行事だといえる。
どんど焼きは集落の入り口に立って集落を守り、外からやってくる災いを一身に引き受けてくれた道祖神を、神聖な火の力で浄化し神力の回復を図ろうという祓いの儀礼で、大きな火を焚くのは集落全体の災厄(さいやく)の浄化を願うものであったといえる。
富士宮市では、ドンドヤキという人とドンドンヤキという人があるが、その呼称は、人によっての違いで地域区分はできないが、どちらかというとドンドヤキという人の方が多い。ドンドヤキとドンドンヤキの名称については、ドンドとかドンドンというのは、火の中で竹が爆ぜる音によるとか、火が勢いよく燃える様子を表すなどといわれている。

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4.火にくべられる道祖神

どんど焼きは、市内ほとんどの地域で道祖神の所で行われていたが、道祖神を火の中へ入れる風習が、山宮の下蒲沢・新屋敷や宮原上・村山堀込などの集落に現在も残っている(現在は道祖神の代わりに石を入れている)。他にも現在は行われていないが、かつては道祖神を火の中に入れたという伝承をもつ集落が多い。
新旧の道祖神と自然石が並んで祀られているのをよく見かけるが、古い道祖神は焼けて風化したり破損したりしている場合が多い。それらには、どんど焼きの火により破損したものだといわれるものが多く、そのための代替として火の中に入れるよう自然石も祀って置くのである。
道祖神は村人の一切の罪や子供たちの疫病を背負って焼かれ、清浄になるという信仰から火中に投じられたといわれている。

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5.御神木とおんべ竹

正月飾りや門松を積み上げたどんど焼きの小屋や山には、中心におんべ竹(御幣竹)や御神木(常緑樹)を立てる地区が多い。おんべ竹や御神木は、御幣(ごへい)やしめ飾りで飾り付けることから、道祖神の依り代だと考えられる。どんど焼きの火に燃された御神木が、鬼門(きもん)の方角に倒れると村の除災や繁栄につながるとか、隣村の方へ倒れると災厄が出ていくなどといわれている。
道祖神の小屋に、おんべ竹や御神木を立てない根原では、道祖神の依り代として「やなぎ」といわれる花飾りを立てる。人穴や杉田(滝ノ上・丸塚)では、根原の「やなぎ」と似た花飾り(「はな」とか「だし」と呼んでいる)を立てる。また、上条の千居や青木の鍛冶屋・矢谷戸、杉田の滝ノ上・丸塚では「奉納道祖神」の幟を立てている。

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6.どんど焼きと火伏せ

富士宮市内では、どんど焼きの燃え残りの松の枝や竹を持ち帰り、粥を炊くとか風呂をわかすとかに使い健康を祈ったり、屋根に投げ上げて火伏せの呪いにしたりするのが一般的である。
根原では花のように飾った「やなぎ」をたがのように丸めて各家庭に配り、それを火伏せの呪いとして屋根に投げあげる。風で飛ばされ屋根から落ちてきた「やなぎ」は、新しいうちは再び屋根に投げあげられ、古くなると道祖神の所に返されどんど焼きの時に燃される。
人穴や杉田の滝ノ上・丸塚には、花飾りを屋根にあげる火伏せの風習はない。

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7.道祖神の夏祭り

夏の道祖神祭りは、夏の疫神送り(祇園送り)の祭りとして知られる天王祭りと同様に、夏の疫病の流行期にあわせた疫病退散の祭りだといえる。
市内では7月に神立町で、8月に淀師や青木と宮本町で道祖神の夏祭りが行われている。祭りは、道祖神に灯明を上げ太鼓を打ち題目を唱える仏式が多いが、浅間大社に近い宮本町や神立町と朝日町では神式で行われている。
淀師横町(淀師区第六町内会)では、道祖神の脇でかがり火を焚きお参りにくる子供たちのために明るくするのだということであるが、昔はもっと大きな火を焚いたということであり、どんど焼きの火と同様に祓の意味もあったのではないかと考えられる。

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